setokouchanの日記

とうとう71歳になりました。今住んでいる瀬戸市について、また生まれ故郷の豊橋について思ったことを文字や写真に。日記代わりに毎日記事を書いています。観音巡りはいつのまにかやめてしまいました。

⑩シンセイ

  子供の頃の、お正月に両親と一緒に行った豊川稲荷でのことだ。ガマの油大道芸人たちが参道の脇にいて子供心にワクワクした。

 言葉巧みに客を集める店の一つに、透明なガラスの筒があり、おじさんが吸ったばかりのタバコの呼気を吹き込む。すると透明な液体が一瞬にして真っ黒に変色した。自分の顔はきっと青くなっていただろう。おじさんは、タバコは毒だからこの薬を買いなさいと商売していた。

 これが自分の一生の方向性を決めた,タバコは絶対に吸わないと。

 高校、大学の悪友たちはみなかっこ付けてタバコを吸っていた。コンパで酔うと吸わないやつまで吸っていた。当時のパチンコ屋さんはモクモクと煙っていた。それが半端ない。

 自分の父親はヘビースモーカーだったんだろう。写真の『シンセイ』というタバコを大森さんという店に買いに行かされた。当時は『ハイライト』が全盛中、頑なにシンセイだった。その後シンセイは店から消えた。70くらいまで吸うために特注で取り寄せていたようだ。

 懐かしいタバコだ。父親が愛したタバコだが、豊川稲荷のおかげで自分は全く吸えない。父親はタバコを吸っていても96まで生きた。副流煙に悩まされたはずの母親も94まで生きた。父親が吸わなければ今もまだ生きているはずだ。二人合わせて204歳になっている。