国道363号線を見晴峠を通って岐阜県側に行くと、雨沢や柿野の集落になる。土岐市だ。雨沢では、中馬馬子唄が残っている。品野の中馬街道を調べている方々が、品野祇園祭に雨沢の中馬街道保存会に来てもらって発表してもらった。民謡は地域名や当時の様子が伝わってくる。改めて中馬馬子唄の内容を考えてみた。
1 馬子は26、男のさかり
根羽や平谷の 若衆だよ
2 のぼりゃ大馬戸 下れば坂瀬
中の明智で 一休みよ
3 吉良見吹越 猿爪越えて
谷の鶯 笹渡りよ
4 恵那が曇れば 柿野は晴れる
曽木あたりは 薄霞よ
5 美濃の大馬戸 尾張の坂瀬
碓氷峠が なけなよい
6 新居松原 品野の縄手
坂瀬の大阪 なけなよい
7 小幡過ぎれば 大曽根近い
うれしかろうぞえ 茶屋娘
中馬街道の瀬戸を通るコースは、国道363号線・岐阜県道33号線沿いを基本に、長野県飯田に抜ける街道だ。名古屋・足助を抜ける街道や豊橋・岡崎から足助に抜ける街道、塩の道とも奥矢作で合流する。物流の街道なのだ。瀬戸でつくられたせとものも馬の背に乗せられて運ばれた。
この民謡は昔からあったものではないだろうが、地名から馬子たちが通ってきた道筋がわかる。想像すると大まかな道がわかる気がする。
名古屋→大曽根→小幡→新居松原→品野縄手→坂瀬(品野のすぐ東の白岩)→柿野→曽木→吉良見→明智→大馬戸→根羽→平谷→阿智、飯田
岐阜県道33号線は大正村の東から細い道(車にとって)に入る。カーブしながら山道を走る。当然方向性を失う。ナビに指示通り走れと言っても無理なのだ。狭くすれ違いができそうもない道を走る。広い道に出るまで数十分走ったんだろう、一台もすれ違わなかった。峠付近(多分これが大馬戸峠なんだろう)に数体の馬頭観音が祀られていた。方向音痴の自分には同じ道を走れと言われてもできそうもない。