瀬戸に来て45年。間違えて覚えていたことは少なくない。多くの人がまだ信じていることもある。
まず、代表的なものとして、『せともの祭には雨が降る』だ。瀬戸では磁器の祖である加藤民吉を祀ったのがせともの祭だ。雨が降るのはなぜ?有田に潜入し磁器作りの製法を盗み出し瀬戸の帰ってきた産業スパイだったのだ。
民吉は有田の窯元で修行したが製法は教えてもらえず、窯元の娘と結婚して教えてもらった。習得した民吉は有田を抜け出し瀬戸に帰ってきて、瀬戸村の人たちに技術を伝えたのだ。有田から妻と子供は歩いて何とか雪の中を瀬戸まで来た。しかし、瀬戸の村人が会わせない。母子は手をとり雨池に身を投じる。
簡単にまとめたが、実話だと思っていたのは、自分だけではないだろう。雨は別問題だが、産業スパイ説は有り得る話だ。
ちなみに、せともの祭は9月の第3土日だったのが、第2になった。それでも2日目の日曜日には3時すぎに短い時間だが雷雨とともに豪雨があった。この時期は季節の変わり目で元々雨が降りやすかったのだ。
雨は本当だが、産業スパイ説は全くの作り話だった。民吉は合意のもとで磁器作りを学んできたのだ。