瀬戸弁の中には分かりづらい言葉がある。最初は『いりゃ〜す』だった。次は『まって（き）ていい？』だ。これには自分はオウジョウコイタ（困った）。男も女も待っていてくれないのだ。そのことを町内の集まりで話したら、岡崎生まれの方が『まってりん』とぼそっと言われた。三河では『おしっこをしておいで』の意味なんだ。確かに豊橋生まれの自分にも聞き覚えがある。【ま】を強く発音する。自分も使っていた言葉なのだ。
最近知った瀬戸弁が、『やっとやる』『やくとやる』という言葉だ。瀬戸の人はゆっくりとは喋らない。聞き分けができない。【やっと】も【やく】も早く発音する。自分は聞き分けられないのだ。瀬戸のお年寄りには違いが聞き分けられるのだ。
『やっとやってはあかんよ』は『長くやってはいけないよ』という意味だ。これは誰でもわかる言葉だろう。しかし『やくとやってはあかんよ』は『わざととか意地悪してはいけないよ』という意味になる。
瀬戸でお年寄りに『ごがわく！』と言われたら、警戒しないといけない。語気を強めて『ごがわくわ～ぁっ！』となると覚悟を固めなければならない。
