setokouchanの日記

とうとう71歳になりました。今住んでいる瀬戸市について、また生まれ故郷の豊橋について思ったことを文字や写真に。日記代わりに毎日記事を書いています。観音巡りはいつのまにかやめてしまいました。

旧山繁商店 享保雛

 堀出し地蔵前を南下すると左手に古い大きな家がある。曲がりくねった細い道を少し進むと、きれいなつるし雛が入口に飾られている家があった。のぞいてみると一人の女性が黙々と作業をされていた。お雛様はまだ準備中で23日から公開するのぜひ見に来てくださいと笑顔で答えられた。

 

 中を見ると奥にひな壇があり、土間には天井から何十本ものつるし雛があった。色々な角度から見ながら置き方・吊るし方を工夫(瀬戸弁ではかんこする)しているんだろう。納得行くまで頑張ってほしいが、大変な作業だろう。

 忙しい中、彼女が離れには享保雛の飾りが終わっているので見てみますかと誘われた。なんでも興味を持つ自分はすぐにお願いしますと返答した。

 自分はお雛様を理解していないのだ。すごいという気持ちはあるものの、何がすごいのかわからないのが申し訳ない。お雛様より違った部分が気になる。古い建物、障子、欄間などを見てしまう。畳も大きい本畳だ。部屋の造りはふすまで真ん中を仕切って4つの部屋がある。ふすまを取り払って32畳の広い部屋に多くのお雛様が飾られている。

 山繁商店とは、瀬戸では大変大きな陶磁器卸問屋だった。明治〜昭和の全盛期に活躍した。建物が平成27年に国登録有形文化財に登録された。明治の建物だからさすがに傷んでいる。もう限界に来ているんだろう。

 文化財に指定されると、外見を中心に勝手に直すことができない。行政が予算を付けなければどんどん傷んでいく。他の瀬戸の指定された文化財は、維持するだけで大変だと聞く。登り窯同様、規模が大きくなればなるほど保存が大変だ。

 23日から公開が始まる。離れには享保雛だけでなく瀬戸で作られた磁器雛(大正・昭和)が飾られていた。旧事務所内のつるし雛とお雛様はどんな感じでまとめられるんだろう。藤井八冠で有名になった銀座通りの北側になる。目立つ場所ではないが、瀬戸のお雛めぐりに瀬戸に来るなら、ぜひコースに入れてほしい。

 蔵の中を整理しているとまだまだおもしろいものが見つかるようだ。旧事務所の入口に脚立が置いてあった。彼女が登り降りしながらつるし雛を天井から吊るしたんだろう。お客さんが多く来るといいなと思う。