setokouchanの日記

とうとう71歳になりました。今住んでいる瀬戸市について、また生まれ故郷の豊橋について思ったことを文字や写真に。日記代わりに毎日記事を書いています。観音巡りはいつのまにかやめてしまいました。

年寄りの戯言289 中馬街道を歩く 番外編 中品野のねこなし皿②

 中品野では、ねこなし皿がつくられていた。ねこなし皿は寝こなしでつくる皿として、金儲けには縁のない仕事だった。初めはろくろを使わない楕円形の刺身皿だったようだ。その後、機械式ろくろやガス窯などが導入され、好景気に後押しされながら成長した。しかし、安い中国製の食器に市場を奪われた。従業員がパートに、そして家族だけに。

 自分のお世話になった方も中品野で焼き物作りを仕事にしていた。昨年、彼は焼き物作りをやめられた。彼は、大学機関とも協力して新しい焼き物作りに真剣だった。しかし、毎日の借金を返すためだけに必死にならざるを得なくなった。彼は廃業の道を選んだ。

 小さな焼き物工場だからといって馬鹿にできない。彼らは辛い修行をして現在に来ている。技術は非常に高いのだ。その技術はその年代だけで終わっていく可能性があるのは確かだ。

 彼の娘さんは、TBSの人気ドラマのクロサギの美術担当をしていた。そのセットの中に父親である彼の大きな壺がセットに使われていた。彼の作品は全国区になっていたのだ。7月から始まるドラマVIVANTの美術も娘さんが担当するとのこと。彼は仕事をやめたが美術的センスは娘さんに受け継がれている。楽しみだ。