粘土鉱山で撮影された松竹映画『青銅の基督』。陣屋鉱山だから本山中学校の西側だろう。ベルト道路のある鉱山は、中学校の南側だから直接は関係ないが、同じ時代につくられた鉱山だ。
瀬戸ノベリティ文化保存研究会のサイトに、1955年に青銅の基督のクライマックスシーンが瀬戸で撮影されたとある。岡田英二や香川京子、山田五十鈴、滝沢修など当時の人気スターが瀬戸に集まったのだ。
深川神社の前(宮前)の大鳥居の瀬戸川反対側に、伊香保温泉という銭湯があった。自分も長くお世話になった。銀幕スターたちも60年前に入ったんだろうか。残念ながらもう姿形もない。
自分が瀬戸に住み始めた頃は、アパートに風呂がなかったので、近くの銭湯へ通った。覚えがあるだけで、7・8軒の銭湯に行った。蛭子湯は営業していないが今でも3階建ての建物を残している。文化財にしてもいいんだろうと思う。
昭和の瀬戸は、どれだけでも儲かった。『瀬戸に行かんでどこへ行く』って言葉が生まれた。料亭、江戸前寿司、鰻屋、映画館が宮前には集まっていた。職人たちが、真っ黒になりながら焼き物を作ってきた。仕事上がりにはお湯につかる。銭湯はどの町内にもあったんだ。
映画館は大入り満員。銀幕スターが瀬戸に来て撮影する。しかもクライマックスシーンを粘土鉱山で撮影したのだ。大騒ぎになったんだろう。日本のグランドキャニオンとして有名になり、その横にあった鉱山の中を本山中学校の生徒たちが歩いていた。ベルト道路、パン山など味のある名前だ。