夏場、中学年の頃の遊びに、ザリガニ釣りがあった。普通のザリガニは陸軍墓地の近くの池でやったような記憶がある。あまり釣れなかった。
たぶん戦後に食用として日本に入ってきたんだろう。アメリカザリガニがいて、ザリガニとしても大型の種類だ。これがよく釣れた。住んでいた場所から東に1kmほど歩くと、ため池があった。今、豊橋市民球場の辺りだ。昔この周りは田圃や畑ばかりで何もない。農家にとっては大事な水ガメだ。
梅雨が終わり夏休みになると、ため池の水は減っている。水辺はザリガニの皮でいっぱいだ。
棒に結んだ木綿糸の先に餌になりそうなもの(結構なんでも良かった)を付ければ準備オーケー。最初の一匹を釣ればそれが餌になる。尻の部分を剥いて糸に付ける。次から次へと釣れるのだ。
普通の日本ザリガニは釣り上がってくると危険を感じてエサを離す。アメリカザリガニは、貪欲だ。これはオレのものだ、絶対に、放すものか!と反対のハサミでカモンポーズをして挑発してくる。バカめと言われながらバケツの中に入れられる。
同時に2つも3つ釣れるときもある。彼らは喧嘩しながら釣れてくるのである。一番よく釣れたのはカエルがエサのときだ。トノサマガエルを捕まえると、まず地面にペチャっとたたきつける。そして後ろ足の水かきをさくとそこから皮がむける。本当にすぐ全部むけてしまう。真っ白なカエルができる。男の子だと一度は経験したと思う。糸に結んで水の中に、カエルは息を吹き返す。水かきがないので沈んでいく。糸をひくとザリガニたちは、ごちそうと思い群がりつく。自分たちは、なんと残酷な子供たちだったんだろう。
ドンドン釣れるとすぐあきるのも子供だ。違う遊びに移っていく。
ため池というのはあくまでも雨水を貯めるための池だ。自然にできた池との違いを知っておいてほしい。当然急に深くしたほうが水量が多い。水辺は危険だということを、先輩や親から聞いて育った。
先日、若者が川で流されて亡くなる事故がたて続けにおこった。プールと同じ感覚で油断してしまい足を取られたり、深みにはまって溺れる。海にも流れがある。流水プールより速い流れだ。急に変わる。知っておかないといけない。学校では教えてもらえない。