母親が無理して買ってきた冷蔵庫。最初は電気ではなかった。ツードアといえばカッコいい。氷を上の部屋に入れる。下のドアからは、生物(なまもの)を入れて保存する。料理の前に買ってこなくてもしばらく保存がきく。氷屋さんが流行ったのは、この冷蔵庫やかき氷が流行ったからだ。
でも時代はあっという間に進んでいく。電気冷蔵庫ができたからだ。我が家では、氷の冷蔵庫は数年で消えた。
子供だった自分にとって、電気の冷蔵庫は何が凄いかというと、氷が自宅で作れるというその一点だったような気がする。遊んで帰ってくると、氷を一つ口に放り込む。味も何もしないはずなのに、これがたまらなかった。
子供の頃のことで覚えていることの中に、カレーライスが我が家でも食べるようになったこと。お手伝いの中に買い物がある。カレーには肉が必要で、自分が東雲通りにある肉屋へ50円持って買いに行った。グラム90円だった。その肉を50gだけ買う。45円だ。おつりはお駄賃になる。50gって今では考えられない。数切れしかカレーの中に入っていないのだ。子供で取り合い。親の口にはたぶん入らなかったんだろう。オリエンタルカレーという名前に記憶があるが、ボンカレーもこの時代に出始めたのかな? 肉を食べるようになったのに冷蔵庫とカレーが大きな働きをした。
当時は氷をしゃぶっていたが、今では、氷は焼酎に入れて楽しんでいる。
恥ずかしながら、昭和日常博物館で冷蔵庫の写真を撮り忘れている。歳は取りたくない。今回もフリーイラストの、いらすとやさん、お世話になります。