昔よくお世話になった料理屋があった。宴会になるとよくそこで食べそして飲んだ。古き良き時代だ。もうそこは廃業されている。そこのおばあちゃんに聞いた話だ。
戦後すぐの時代だ。品野を通っている中馬街道から山沿いにそれると岩屋堂がある。行基さんが修行し仏様を彫っている。
聖武天皇が奈良の大仏を建立するために民の力が欲しかった。権力から攻撃されていた彼に、奈良に帰って来いとの命がくだり岩屋堂から奈良に。そんないわれがあるため旅人の中には参拝に行く人が多かった。
その途中にこの料理屋はあった。店の前に行き倒れの人がいて亡くなってしまった。村では丁重に葬ったが、料理屋で奇っ怪なことがおき始めた。夜になると、天井で何かが走り回るのだ。お寺の住職に相談すると、行き倒れの人が成仏できていなくて困っているとのこと。
村では、石仏を作って成仏を願ったそうだ。店がなくなった今も毎日水をかえているんだろう、雑草がはえてはいたが、お堂の中はきれいになっていた。おばあさんの実体験だ。